2017年01月29日

DINKS~フリーランサー(二四話)


二四話


 今日のこのとき鮮やかなオレンジ色の下着を選んだ治子。ユウの赤もそうだが女が暖色系の明るい色を選ぶとき、自信のなさの反動だと言われている。認められていないのではという思いがあって、目立つ色を着ることで女の自分を主張したがる。治子もそうだと友紀は感じた。治子とは以前から女性誌の編集でデスクを並べていたのだが、肝心なところで弱気というのか押しが弱い。それが対人関係にも顕れて、社内はともかく取材などでは相手に対してどうしても遠慮がちになってしまう。

 かすかな戸惑いを胸にサリナの顔をまたいだ治子。心なしか膝が震えているようにも感じられた。文才もありアイデアもある後輩の資質をのばしてやらなければならない。友紀は治子がどうするかを見守っていたし、それは同僚で同世代のユウもそうだ。自分に比べて優位か劣位か。そのへんの無意識な格付けが職場でも出てしまう。ユウはモモと出会って変わりはじめた。それには治子も気づいていて負けたくない思いがあるはず。

「・・不思議な人ね」
 サリナをまたいで見下ろして、かすかな声で言った言葉を友紀は聞き逃さない。『美人だし能力もあるのにどうして?』・・『こんなことをしてどうなるの?』・・『これがあなたの愛なんですか?』・・おそらくそういう意味だろうが、それには『私にはできないし怖い』という裏腹な思いが潜んでいるはず・・。
「いいわ、汚いところを舐めなさい」
 意を決した言葉。攻撃的になってきたと友紀は思う。自分の中で処理しきれず拒むこともできないとき女は反転して攻撃する。攻め込まれれば崩れてしまうと思うからだ。

「ケイちゃんか、怖いのは・・」
 友紀のかすかな声にそばに座るyuuが眉を上げて首を傾げた。
 治子はこう考えている。刺激を受けたケイがSっぽくなっていく・・だけど私はMじゃない・・M女なんかになりたくない・・したがって私は違うと攻撃的になっていく。ケイへのポーズもあるのだろうが。
 鮮やかなオレンジ色のパンティを意を決して下げながら、治子の豊かなヒップがサリナの顔へかぶさっていく。アナルではなく性器舐め。汚いところと言っておきながらアナルではない。女心とは裏腹だと友紀は思う。

「ンふ・・ハァァ・・ぅく・・」
 治子はサリナの頭をそっと両手でつつむように、顎を上げて唇をちょっと噛み、甘い吐息を虚空へ吐いた。ぴちゃぴちゃ濡れ音が聞こえる。治子の腰が揺れ出した。
「感じちゃう・・あぁぁ・・」
 たまらずちょっと浮かせた性器を追うように、サリナが顔を上げてついていく。
「あぁン・・はぅ・・」
 サリナの頭を撫でている。本質のやさしい治子。yuuがささやくように言った。
「・・いい人」
 友紀はyuuの手に手を重ねてうなずいた。
「ここにいる女はそうよ、いい子ばかり。私はちょっとですけどね・・ふふふ」
 そんなことないと言うようにyuuが友紀の手を握る。
「これ以上はダメ・・おかしくなっちゃう」 と股ぐらのサリナを見つめて治子は微笑み、離れ際に両手で頬を撫でてやってパンティを穿き直す。

 そして最後にケイ。ふと横目に見るとその瞳がランランと輝いている。
 天性の淫婦。さてどうするか。景子とはどんな女で、治子はケイのどこが好きなのか・・二人のスタンスがわかると友紀は見つめた。
 ソファをさっと立つ。こちらは鮮やかなブルーの花柄の下着。大柄で乳房も尻もダイナミック。顔立ちも派手な感じで美人の部類。ケイは学生の頃からフリーターをやってきて、その流れでスポーツ用品のショップに就職したと聞いている。デスクワークが向かない。仕事ができるということで望まれて社員になった。
 ある部分で私に似ていると友紀は感じ、ケイの動きに期待した。
 思ったとおり躊躇なくサリナをまたぎ、躊躇なく下着を下ろして濡れそぼる女性器をサリナに食わせる・・食わせるという表現がふさわしいほど、打ち付けるように性器をサリナにかぶせていく。

「あぁぁ! たまらない・・もっとよもっと、奥まで舐めて!」
「はい、ケイ様」
「ね、濡れてるでしょ? ああっ、いいわ、感じる! ああーっ!」
 ふと見るとyuuがほくそ笑んで首を振る。
 腰を入れて性器をこすりつけるように、性器からアナルまでを一気に舐めさせ、自分でブラ越しの乳房を揉みしだき、あられもない声を上げるケイ。その両手が後ろ手にサリナの乳房をわしづかみ、二つの乳首をヒネリ上げる。
「くぅぅ!」
 サリナの悲鳴。脚が痛みにばたついている。
「ふふふ、痛いよね。でもダメよ、穴の中まで舐めてちょうだい」
「はい、ケイ様、ありがとうございます」
「いい子・・いい子よサリナ・・はぁぁ! もっと舐めて・・ああーっ!」

 このとき友紀は、顔を少し斜めに向けて視線だけで食い入るように見つめる治子の様子が気になった。私もきっとこうされる・・ケイはSに目覚めてしまった・・内心そんなところだろうし、新しいセックスへの期待もある。治子は息を詰めて見守っている。
「ねえねえ、イッちゃう・・ねえイク・・あ! はああ!」
 サリナの顔の上で大きな尻がたわたわと波紋を伝えてダイナミックに動き、いよいよクライマックスと思えたとき、ケイは言った。
「好きにしていいんでしょ? ねえ友紀さん?」
「いいわよ、思うままに虐めておやり」
「うん、わかった・・ああサリナ、もうダメ・・」
 次の瞬間、ケイはブラまで毟るように剥ぎ取って全裸となると、腰を浮かせて体を反転、69でサリナの性器へ攻め込んだ。指を突っ込み、掻き回し、ラビアを吸いたて、クリトリスを吸い上げる。
「ああケイ様ぁ! いい! 嬉しいです!」
「だったら舐めて! 指入れて! ああイク・・サリナぁ!」

「ふふふ・・激しい人・・」
 yuuが思わず言って笑い出す。その向こうでユウが治子を横目に、『いつもこんな感じなんですね』と言うようにくすくす笑って治子を見ている。
 その治子。わずかに赤面して目をそらせず、いよいよその気といった面色になっていく。
 周囲の女たちを見渡して、友紀はこれが牝の本質だと感じていた。貪欲であり淫乱であり、理性も知性も、美もそうだし日頃のポーズも、肉欲を取り繕うだけのもの。
「治ちゃんも幸せよね?」
 試してやってちょっと笑うと、治子は思いのほかしっかりとうなずいて微笑んだ。ケイに委ねる覚悟ができたとその顔に書いてある。
 治子が言った。
「Mにされる・・きっとそうなる・・ふふふ」
 ・・やっぱりね、と思いつつ、これでオフィスでも変わるだろうと友紀は思った。ユウがモモを得たように治子はケイとの新しい性を得たのだから。

 友紀は言った。
「気が済むまで責めてやればいいわ。治ちゃんもユウちゃんも好きにすればいいからね」
 絡み合ってのたうちながらケイが顔を向けてウインクした。治子とユウは二人で見つめ合ってうなずいている。
 友紀は椅子を離れ、一人で二階へ上がる。一階には広い和室が造られていて布団で六人ほどが寝られるし、二階にはシングルベッドを並べて置いたツインの洋室が造られている。
 下着姿のまま部屋に入り、ドアを閉めて横になる。建物の造りのせいか階下の音は届かない。一人きりの静寂。友紀はちょっと苦笑して窓の外へと眸をやった。いつの間にか外は暗く、風もなさそうで木々の枝葉が揺れてもいない。
 と・・ノックされ、黒の下着姿のままyuuが顔を覗かせた。
「下は? 三人でサリナを?」
「ううん、治ちゃんはユウちゃんの手を引いてお部屋へ。ケイちゃんはイカレてるしサリナさんはもがいてる・・ふふふ」

 笑いつつyuuは友紀に見られながら全裸となって、狭いベッドの友紀のそばへと身を寄せた。yuuもまた陰毛のないデルタ。けれどもボディピアスのようなものはされていない。
 裸のyuuを抱いてやり友紀は言った。
「ちょっとドキドキだったわよ、ピアスとか・・ほら」
「ご主人様におねだりしてます」
「おねだりしてる?」
「夢なんです・・乳首とクリにピアスを授けられることは奴隷の誇り。お願いしてもまだ早いって・・でももうすぐ・・ふふふ」
 ひそやかで意味ありげなyuuの笑い。
「そうなの? してくれそう?」
「はい。ご主人様と結婚します」
 友紀は抱きすがるyuuを引き剥がし、顔を見て眸を見つめた。
「そうなんだ・・おめでとう、よかったね」
「ありがとうございます。私、友紀さん見てて勇気をもらった。死に物狂いで女してる」
「・・そうかしら?」
「ご主人様もおっしゃってますよ」
「あら何て?」
「歩く性器だって・・ふふふ、狂おしいほどの女性だってことですけどね」
 友紀はちょっと瞳を回して苦笑する。
「失敬な・・でも彼に言われると嬉しいかもよ。正直言って私ね、サリナにはとても勝てないって思ってるの。ピュアそのもの。これでもかと自分を晒すサリナを見てて、私にはできないって最初の頃は思ってた」
「いまも?」
「いまは違う、本気で鞭打てるし、少しぐらい傷ができてもいいと思うし」
「生涯の奴隷ですものね?」
「そういうこと。生涯きっと離れない。サリナに愛を教わって生きていく。あの子こそ女神だわ」

「女王様・・好き・・」

 yuuは、ワインレッドのブラ越しに友紀の乳房に頬をすり寄せた。
 友紀は言った。
「今度のことでマスター何か言ってた?」
 yuuは首を横に振る。
「私が何をしようが一切何もおっしゃいません。思うまま感じるままに自分を決めて動きなさいって」
「・・自分を決めて動くか・・マスターらしい。お店にいたってそうだもん、だからバロンで解放される・・うまく言えないけどポーズしなくていいのよね、私のまんまでいられるから。あの頃の私って・・」
「え?」 とyuuが顔を上げた。
「取材で最初にお会いしたときのことじゃない」
「ああ、そういうこと」
「そういうことよ。あの頃の私は浅かったって思うわよ。レズさんたち・・不倫もそうだしSMなんてましてそう。いろんな性に出会っていながらあくまでビジネス。割り切ってたし、どっちを向いても他人事で『スキね』ぐらいにしか思っていない。そういう意味でも私はサリナよ。サリナを知って打ちのめされた。あの子は愛があふれ出てる女だもん。圧倒される愛の量。私が勝手に遠慮して本気で鞭打つなんてできなかった。だけど、それって結局、自分をいい子にしておきたいだけなんだと気づいたときに、サリナの愛に押し流された。鎧を脱げたと言えばいいのかな」
 yuuはちょっとうなずくとふたたびブラ越しの乳房に頬を寄せた。

「・・ひとつだけ」
 yuuのかすかな声が胸で聞こえた。
「うん? ひとつって?」
「ひとつだけご主人様が・・いずれ一度、女王様に貸し出すって」
「私に?」
「もちろんそうです。そのときは友紀さんサリナさんの二人女王。女たちの洗礼を受けて血の涙を流して来いって怖いことをおっしゃられ・・ふふふ、だけど今日、お二人を見ていて思いましたよ、一度はお仕えしたい女王様だなって」
「・・ったく、あのタコ・・よく言うよ」
 同じことを考えていると友紀は感じた。サリナを貸し出し、奴隷とは何かを思い知らせてやりたい。誰か男に犯されて、もしかしたら妊娠する・・それでもいいと考えている。

 そう思ったときに、言葉が口をつく友紀だった。
「yuuちゃんて子供は欲しい?」
「うーん、なりゆきですよね、できるならできるだろうし。拒みもしないし求めもしない」
「求めもしない? 子供よりもご主人様との関係?」
「そうですよ、それはそう・・私はただ従うのみ・・」
 普通はそうだろう。夫との暮らしの中で母親になっていくのが女の幸せ。普通はそうだろうと友紀は思う。

 その頃・・階下の和室で、治子とユウが抱き合っていた。互いの下着を脱がせ合い、全裸で抱き合いキスをかわす。
 治子は職場で、友紀の下には自分がいるべきと思っていたし、ユウはユウで友紀の下にいられることが嬉しかった。女同士の微妙な嫉妬と言えばいいのか、しっくりしない感情がないとは言えない二人。
 ユウの髪を撫でながら治子が言った。
「景子と出会ってどれぐらいかな・・最初の頃は面食らったわ」
「どうして?」
「パワーの塊・・積極的だし行動的だし」
「そんな感じですね、見てて圧倒されちゃうもん」
 ユウは苦笑して治子の乳房に頬をうずめる。治子の裸身は豊か、ユウは華奢で線が細い。年齢でも治子が上だし、二人でいると治子が姉さん格になるのはしょうがない。

 治子が言った。
「そうなんだけど、ケイってあれでやさしいのよ。料理なんてあたしよりできるし、お人形とか縫いぐるみなんかを抱いて寝てるし、女の子そのものなんだ」
「・・可愛い」
「ほんとよ、じつは可愛い女なんだよコレが。ふふふ、押し倒されて脱がされて、そのくせ抱いてほしくてたまらない。ああ女ってこうだよなって思ったし、相性いいし・・そのままグダグダのレズにハマっていったわ。私も男はまっぴら。それはケイも同じでね。二度とパスだと息巻いてる」
「あははは」
 ユウはちょと笑って治子の乳首を唇に捉えながら言った。

「でもちょっと怖いでしょ? じつはSっぽい?」
「みたいだね。もうダメよ、Mにされそう・・」
「治子さんて違う?」
「ううん・・きっとMよ・・ケイって激しいから、そうなれたら幸せかもって思っちゃった。サリナさんて素敵よね」
「めちゃ素敵・・憧れちゃう。友紀さんもそうだけど、いまのあたしじゃ太刀打ちできない女だし」
「若いもん、あたしたち。ケイがもし友紀さんみたいになれるのなら、あたしはサリナさんみたいになっていきたい」
 乳首を吸うように愛撫するユウを抱きながら、治子は言う。
「でもユウも不思議でしょ? モモさんは女王様で、なのにペニスで愛される。いつか妊娠したりして?」

 ユウは乳首を含みながら声を漏らして笑った。
「やっぱりそう思います? 綺麗なおっぱいなんですよ。体もホルモンでふっくらしてるし・・なのに何で男なのって思っちゃう。溶けるほどやさしいかと思えば、レイプみたいに犯されて・・お部屋で私は常に全裸で奴隷なんだと実感するけど、あるときお姫様みたいに扱ってくれたりするし」
「素敵なギャップなんじゃない?」
「そうなんですよ。振り回されているうちに、こんな人って他にはいないと思えてきちゃう」
「鞭打ちとかは?」
「少しです。Sっぽいけどやさしいから。何もかもが驚くほど女で、また一方驚くほど男の一面も持っている。黙ってついて来いみたいな」

 それからユウは、治子のデルタの翳りへ手をやって、そっと谷口に指を這わせながら言った。
「ねえ先輩」
「うん・・その言い方やめよ・・」
「はい・・友紀さんのこと・・私いま必死なんです、学ぶことばっかりで」
 指先の侵入を拒まず治子は静かに脚を開いて立てていく。ユウの細い指が濡れのまわった同性のラビアを掻き分けて愛撫する。
「ンふ・・それを言うなら一緒よ。あたしだって必死だし、友紀さんがいてくれないと話にならない。でもユウ」
「はい?」
「もう浅い関係じゃないんだし・・あぁン」
「ふふふ・・ですね」
 ユウの指先が治子のクリトリスを弾くように愛撫する。治子は甘い吐息を漏らしながらユウの谷底へと指を這わせた。
「あぁぁ感じます、お姉様・・」
「お姉様か・・ふふふ・・そうだけど何か複雑・・好きよユウ」
「はい、嬉しい・・あたしも好きです・・あぁぁ感じる・・お姉様ぁ」
 豊かな治子が華奢なユウを体に載せて、ユウの裸身がずれていき69で互いを見つめる。互いに濡れる女の部分にキスをして、絡み合って求め合う。

「きゃうぅーっ、ケイ様ケイ様、もうダメ・・ああイクぅーっ!」

 二階に届かなくても襖を閉めただけの和室には響いていた。
 治子がパシンとユウの尻を叩いて言った。
「・・ったく、何をなさっておいでやら」
「ふふふ・・ですよね・・それがそのうちお姉様にも・・くくくっ」
「可笑しくない! 勘弁してよ・・あーあ」
 ほくそ笑んで絡み合う治子とユウ。息がふたたび乱れだす・・。

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