2017年01月20日

DINKS~フリーランサー(二一話)


二一話


 集まった女たちの中でひときわ美しいサリナ。
 プロダンサーとして活躍した肢体はサリナ天性のプロポーション
 に加えて鍛えあげたアスリートの躍動さえもいまだに留める。
 私は三十四歳、サリナが六。だけどほかの四人は、yuuだけが
 二十代の後半で、治子もケイもユウも学生でもとおるほど若く、
 キャリアという点では明らかに未熟。
 さらにこのとき女の子たちには日常の普段着で来るよう打ち
 合わせはできていた。私も含めて皆がジーンズスタイルで、
 そこらのカフェに集まるムードにしてあります。

 北砂利菜というレディの人生に決定的なギャップを与えてやろう
 と考えていたからです。
 美しいレディの輝きと性奴隷の輝き。私が思う性奴隷の輝きは、
 たとえて言うなら闇に漂う純黒の宝石のようなもの。
 人の魅力はギャップにあると思っています。怖そうで敬遠する
 タイプの男性が話してみると穏やかな紳士だったりすれば、
 それだけで女はイチコロよ。小さな猫が大きな犬に立ち向かう
 姿を見ていると猫族の凄さを感じたりするものです。
 レディに徹する北砂利菜と奴隷に徹するマゾ牝サリナ。
 両極端の女の凄さをサリナに植え付けてやりたかったし、
 そうして深くなっていく女の純黒を見届けていきたかった。

 私だって私なりの純黒を生きてみたい。ブラックホールと
 言いますが、光より影のほうが強くそして魅力があるもの。
 DINKSなんて女性としてこれほど傲慢な生き方もないでしょう。
 子供を願って不妊治療に苦しむご夫婦がいくらだっているという
 のに、 女に生まれた使命を放棄して勝手気ままに生きている。
 主人のことは愛していますが、では不倫を放棄するかと言えば
 そうじゃない。女王なんてそれこそまさか、私の中にそんな
 魔女がいただなんて思ってもみなかった。
 内向きではない女の性を解放したとき女はもっと輝ける。
 私は地上でサリナは地中で。
 どうしようもない女の性(さが)に震えていたい。

 そのあたりを手がかりに狂おしいほどの想いを本にして、
 多くの女性に生き方を見つめるきっかけを与えてあげたい。
 今度の本は私とサリナのライフワークになっていくと思うのです。
 可哀想にサリナ・・一人だけ下着さえも許されず平伏す裸身を
 強ばらせて震えている。
 いよいよ今日、マゾ牝サリナは密室を出て解放される。
 それは同時に女王YUKIを密室から解き放ってやることにも
 なるのです。どちらもう後戻りができなくなる。
 恥辱に濡れるサリナの心を思いやると女王YUKIの性器も濡れる。

「さあ入って、奴隷は素っ裸で控えさせているからね」
 それもまた大きな声で・・玄関先で五人揃ってほくそ笑み、性奴隷の平伏すリビングへと歩み寄る。玄関にはホールとまでは言えないまでもそれっぽいスペースがあり、ほんの一歩奥へ、そこから数歩で広い板の間のリビングがひろがった。
 乳白の裸身をきっちりたたんで平伏すサリナ。三つ指をつく両手の甲に額がぴったりつけられて、心からの服従を表しているようだ。曇りのない白い女に濃いワインレッドの不思議なショートヘヤー。女たちそれぞれがどんな顔をしているのかとキラキラ輝く眸で見下ろした。

 白い奴隷の目の前に友紀はしゃがみ、光線の具合で紫色に透けるような髪の毛をそっと撫でた。
「顔を上げなさい」
「はい、女王様」
 サリナの声がすでに震えている。少し顔を上げたサリナの顎先に指を添えて、さらに顔を上げさせる。
「・・綺麗」 
 と、若いユウが思わず言った。
 けれどもサリナの面色は血の気をなくして白くなり、二つの眸にくっきり怯えが浮かんでいる。マゾらしいいい眸をすると、女たちはそう思ったに違いなかった。

「よくお聞きね」
「はい・・ハッ、ハァァ」
 サリナの息は熱を持ってこらえきれず、ビブラートのかかる見事な奴隷の吐息となった。
「性奴隷サリナのお披露目です。皆さんそのためにわざわざ集まってくださった。皆さんのお気持ちを思いやって私だけじゃなく皆さんに服従するんですよ、いいわね」
「はい、女王様」
「はい、いい子よ。じゃあお一人ずつ紹介するから」
 このとき四人は初対面のサリナを思いやって背後に回らず、友紀の後ろに立っていた。

 友紀は最初にユウを見た。サリナの前を一歩離れ、ユウがうなずき入れ替わって前へ出る。ユウは小柄で華奢なフォルム。ジーンズだと学生そのもののイメージだった。
「この子はユウちゃん。私と一緒に今度の本をつくる女の子。二十三よ。モモさんておっしゃるニューハーフの女王様にお仕えするM女さん」
 サリナは「はい」と友紀に応え、それからユウを見上げて一度額を床にこすり、顔を上げてユウを見つめた。
「はじめましてユウ様、友紀女王様にお仕えする性奴隷、サリナでございます。今日はわたくしのためにありがとうございました」
 ユウは、たまらないといった眸の色でうなずくと微笑みながら静かに言った。
「はい、いい言葉だわ。ユウです。最高の女王様で幸せね」
「はい幸せです、ありがとうございます」
 ユウはちょっと腰を折ってサリナの頬をそろりと撫でた。サリナはその手に頬をすり寄せる仕草をする。

 同じように次は治子、ペアの景子。二人揃って前に立つ。治子も景子も不思議な生き物を見下ろすような面色だった。リアルなSMにはじめて接する二人。
 友紀が言った。
「こちらが治ちゃん。以前私と女性雑誌をつくってた編集部の子なのね。二十四歳。ビアンでね、今日はその恋人にも来ていただいた。お名前はケイちゃん、歳は同じで二十四歳。ケイちゃんは私も初対面。よろしくねケイちゃん」
 ケイは『いいえ、こちらこそです、お招きいただきまして嬉しいです』と友紀に向かい、それから治子と一緒にサリナを見つめた。女が性対象の二人、すでにギラギラする愛欲の眼差しを向けている。
 ケイは思ったよりも大柄でグラマー。豊かなヌードの想像できる女性であった。茶色に染めたロングヘヤー。パートナーの治子も同じようなロングヘヤー。あのとき治子は家猫同士と言ったが、どうやらネコ同士の二人のようだ。
 サリナは同じようにきっちり平伏し服従を誓う。二人は揃ってしゃがみ込むと、治子が頭を、ケイが頬を撫でてやる。

 最後にyuu。サリナにはもちろん見覚えのある顔で、背後にいる細川の面影を想うような眼差しを向けていた。
「バロンのyuuちゃんは覚えてるでしょ? マスターにお願いして今日はS女さんとして来てもらった。それを言うならユウちゃんもそうだし、治ちゃんもケイちゃんもそうですからね。ビアンがお二人、同性を愛する分、女には厳しいわ。M女さんがお二人。こちらはこちらでM女同士、奴隷の姿を心得てますからね。四人とも今日は厳しいわよ」
 友紀はふたたびサリナの目前にしゃがみ込み、『わかってるわね』と言うように、眼差しをあえて冷やしてサリナの額を指で突く。

「覚悟して復唱なさい!」
「はい、女王様」
「サリナを奴隷に堕としてください」
「はい・・わたくしサリナを性奴隷に堕としていただけるようお願いいたします」
「プライドも尊厳も捨て去ります。どうか私を壊してください」
「はい・・女としてのプライドも・・ハァァ・・尊厳も・・んっんっ・・どうかお願いいたします、わたくしサリナを壊してください」
「どのようなことにも決して嫌とは申しません」
「はい・・ハァァァ、ぁっぁっ・・どのようなご命令にも決して嫌とは申しません。どうか皆様、厳しくご調教いただけますようお願いいたします」
 サリナは言葉を追うごとに追い詰められていくようで、白かった頬が見る間に桜色に染まっていく。

 そしてこのとき、とりわけM初心者のユウは、女王の言葉を自分なりに整理してきっちり伝えるサリナを見ていて、さすが友紀の奴隷だと感じていた。ユウは震えた。サリナを抱き締めてやりたくなる。

 友紀は離れ際にサリナの頬を撫でるように一度パシと叩くと、サッと立った。
「いいわ、お立ち」
「はい、女王様」
 折りたたんだ裸身を、あたかも花が開くようにしなやかに開花させるサリナ。そのときはじめて陰毛のない奴隷の裸身を披露した。Bサイズの乳房の先で乳首がしこって尖っている。
 友紀は言った。
「そこに立って脚は肩幅、手を頭に組んで胸を張る」
「はい・・ハァァ・・ああ震えます・・ハァアア・・」
「・・ほんとマゾ・・ふふふ・・いい女」
 と、あのyuuが言った言葉を友紀は聞き逃さない。
 サディスト細川に躾けられた、この中で唯一の本物M女。友紀は今日、yuuがどうするかに興味があった。Mを知る女性はSとなったとき、おそらく私ではおよばないと内心そう思っていた。
 友紀だけ一人が、リビングらしく造られた空間にある肘掛けのないシングルソファに腰を降ろし、部屋の中央にサリナを立たせ、女四人で取り囲む。

「お触りしてやればいいわ。ただしキスとアソコには触れないように」
 それからサリナに言いつける。
「濡らしちゃダメよサリナ。オツユなんて垂らそうものなら鞭ですからね」
「はい・・そんなぁ・・ハァァ・・女王様ぁ・・」
 四人はそれぞれ眸を見つめ合い、四方から全裸で立つ性奴隷に歩み寄る。ユウが白い尻をそろそろ撫でて、治子とケイが乳房とそして波打つ下腹までを撫でてやり、ケイは耳許に息を吐きかけて首筋にそっと爪を立てて肩まで引っ掻く。そのときyuuが脇の下から脇腹までに同じようにそっと爪を立てて引っ掻いた。
「ぅっぅっ・・くぅ・・ぁ・・ぁ・・」
 サリナの肢体がくねくねとしなりだし、膝をXに締め付けて、白い尻を締めてはゆるめ、サリナはカッと眸を見開いて、ほどなくガタガタ震えだす。
「ほうらいい・・素敵よねサリナ」
 耳許でyuuが言い、サリナはもう声も出せずにうなずくだけ。
 後ろから回ったケイの両手が両方の乳首をつまんで、乳房をぷるぷる振るように弄ぶ。
「あぅ・・くくぅ・・あぁン・・ぁン・・」
「気持ちいいみたい? ふふふ、可愛いわよサリナちゃん」

 寄ってたかって八つの手に翻弄されて、サリナは唇を固く噛み、いつものように眸がイッたマゾらしい姿を見せた。
 微笑んで友紀は見ている。マゾヒズム・・服従する限り、際限ない歓びが与えられる。サリナにはそうあってほしい。いまにも泣きそうな面色で全身を震わせて耐えるサリナ。至上の愛奴が今日生まれて育っていく。

 陰毛のない白いデルタ。あさましいまでに深く切れ込む女の渓谷の奥底から歓喜の蜜がじくじくと沁み出した。閉じた花びらに朝露のように透き通る蜜球ができはじめ、ツーッと糸を引いて垂れていく。
 乳房を揉まれ、乳首をコネられ、震える尻肉をわしづかみにされて体中を嬲られる。そのときの性感を想うだけで友紀は濡れた。

「ふん、もう垂らしちゃって・・いいわよ、唇へのキスはダメ、そのほか好きに嬲っておやり」
「・・だってさサリナ、どうして欲しい? こう? ほうら気持ちいい・・」
 ケイだった。言葉が巧みで思いのほかSっぽい。
 ケイの手が尻の谷へと潜り込み、前からユウの指が性谷へと分け入って、yuuと治子が左右の乳首を口に含む。
「はぁぁ! あぁーっ!」
「いい声よマゾ牝ちゃん」
 ケイの指はどうやらアナルをまさぐって、ユウの指がラビアを揉むように愛撫して、サリナの裸身がS字にくにゃりと崩れていく。
 友紀は言った。
「可愛がってもらって嬉しいね・・イキそうなんでしょ?」
「はい、女王様ぁ・・あぁぁイクぅ・・」
「そんなにいい? とろけそう?」

 耳許でyuuに言われ、サリナは大きくうなずいて、その眸が涙に濡れていく・・感じ入った牝の姿だと、このとき友紀は、かすかな羨望を覚えていた。

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