2017年10月20日

流れ才蔵(十六話)


十六話 一夜の思案


 そしてその夜、庫裏の薄闇の底で、才蔵は目を開けて虚空をぼん
やり見つめていた。お泉は、その才蔵から少し間を空けて夜具をの
べ、才蔵に背を向けて横になっている。庫裏はふたりで寝るには充
分だったが、男女の距離を越えて離れることはできなかった。今宵
で二晩目。昨夜よりは落ち着けていたのだったが、才蔵の手が届く
と思うと息苦しい思いさえした。

「ふぅむ、わからん」

 かすかな才蔵の声に、意識して閉じていた目がパッと開いたお泉
だった。
「何がさ?」
「おぅ、すまねえ、起こしたか」
「寝てないよ・・眠れない。どうしたのさ?」
 お泉は、ひと思いに寝返りをうって、仰向けに虚空を見つめる才
蔵の横顔を覗き見た。
 才蔵が言った。
「お香はいま二十四、納屋はお香が十かそこらの歳に動かされた。
いまから十三、四年前の話だ」
「そうなるね。それが?」
「あの書き付けによると、おそらく家光が将軍職を受け継ぐ間際に
書かれたもの。将軍となった翌年に忠長は駿河へ追いやられている
からな。いまから二十八年ほども前のことってわけだ」
「そのとき家光、十八か、そこらかい?」
「そういうことなんだがよ、では誰があの書き付けに気づいて守っ
たのか、それを考えていたんだが、若き日の家光と言えば・・」
「春日?(春日局)」
「そうだ、それしかあるまい。乳母であり、家光忠長のどちらもを
よく知る人物。かつ秘密を探られない立場の者。しかしどうでぃ、
何かがおかしいとは思わないか」
「合わないね数が。二十八年も前に書かれたものを、それから十数
年も経ってこの寺に隠している」
「そういうことだ、じつに妙だぜ。俺はこう考えたのさ、その間あ
の書き付けはきわめて探りにくいところに隠してあった」
「春日の寝屋とか?」
「あり得る話だ。そしてそれを後になって、春日なのか誰なのか城
から持ち出してこの寺に隠した。春日が逝ったのは確か九年ほど前
のこと。自らの老いを悟った春日が誰かに命じたと考えられなくも
ねえからな」

「大判もかい?」
 と言いながら、お泉はそっと夜具の端へと身を寄せた。お泉にと
って、そんなことはどうでもよかった。才蔵の声をそばで聞きたい。
それだけの想い。
 問われた才蔵が言う。
「これ見よがしに葵の紋の記された大判など、すなわちそれは家康
の威光そのものだろう。あれだけの財をどちらが手にするかで立場
が逆転しかねえ。いや、どちらが手にしても驕りとなって後々に災
いする。ないものとした方が身のためと考えたんだろうけどな。書
き付けだけなら大げさなからくりなどいらねえさ。莫大な財を隠す
ために造られた」
「てことはだよ、襲った坊主どもは書き付けだけを探して? 金に
は目もくれてないだろ?」
「さあな、そいつはどうだか。少しの小判などはした金。金に困っ
ちゃいねえだけってこともある」
 そしてそのとき、話の終わりに、横寝になって才蔵を見つめるお
泉のほんの鼻先に、才蔵の手がぱさりと落ちた。仰向けになってい
て、なにげに手を動かしただけかも知れない。
 お泉はハッとし、目の前の手を見つめ、指先だけをそっとつまむ
ように、身をさらにずらして開かれた手に頬を添えていく。
 才蔵がお泉に寝返って、夜具と夜具の隙間の畳に、ふたりの影が
溶け合った。

 お泉の背をそっと撫でながら、才蔵は、そこらの女とは違う、く
ノ一の肉の張りを感じていた。逞しさゆえ哀れでもある女の姿だ。
「十三年前と言やぁ、家光は三十三・・俺は十八、九」
「・・あたしは十四」
「ほう? 十四? そろそろ熟れていい頃だ」
「何を馬鹿な・・汚れただけだよ」
 お泉はかつて配下だったくノ一、楓から聞かされていた。楓もず
っと以前、これと似たような夜があったらしい。けれどその先、才
蔵は一切手を出さない。あたしもそうなるだろうとお泉は思い、そ
れでもいいと考えた。家老の家柄とくノ一では身分が違いすぎる。
「行きたいところはあるか?」と、ふいに訊かれ、お泉は胸の軋む
思いがした。
「旅ってことかい?」
 影から日向に出られるのだろうか・・どうせ夢さ。
 お泉は言った。
「別にないね。江戸から離れたいって思うけどさ。影は主の足下に
できるもの」

 怖かった。おまえなど邪魔だと言われそうな気がしていた。邪魔
と言われても影となるのは忍びの定め。そうなると寂しいだろうと
感じていた。
 涙がにじむ。あたしはどうしてしまったのか。気の抜ける寺での
暮らしに弛んでしまった。仁吉やお香を見ていて羨ましい。十吾や
お花にすり寄られて微笑ましい。そうした何もかもが、忍びという
役目の中で抑えつけてきた女の感情。どうせ夢だと諦めたものばか
り。くノ一は忍びの里でのみ女となれるもの。

「日向に向けてやろうとしても影が勝手に後ろへ回る、ふふふ」
 才蔵にそっと抱かれていて、声が胸板越しに響いてくる。心地い
いし、女の底から湧き上がる情念を感じていた。
「カタをつけねば」
「そろそろね」
「まずは女が来るのを待つとする」
「女?」
「金を届ける」
「ああ・・そうだね」
「おめえにも、もう一働きして欲しい」
「坊主どもの足取りかい?」
 才蔵は、撫でていたお香の背をぽんと叩いた。

「湯のいい山にでも行きてえもんだ」
「伊豆だってそうだし」
「ゆらりゆらりと歩んで行くか」
「・・あたしと?」
 もしかして・・少しの間でも夢を見させてくれるのかとお泉は思
い、どう考えても可笑しくてちょっと笑った。笑ったけれど涙がた
まる。
「影どうこう二度と言うな」
 ふわりと抱きくるまれて、胸板から伝わる声が心を震わせ、こら
えていた涙が一気にあふれた。

 仁吉が二日に空けず泊まりに来るようになり、祝言はどうすると
いう話になっていく。お泉にとってそれは光り輝く女の姿。影だ影
だと言い聞かせる自分が馬鹿馬鹿しくもあり、ほんわかした空気が
自然に心の張りを弛めてしまう。
 坊主どもの行方を探れ。役目が与えられたとき生来の習性とでも
言えばいいのか、とたんに人が変わってしまう自分に、お泉は悲し
みを覚えるのだった。白木の杖に仕込んだ白刃が、いつかまた血を
吸うときがくる。
 翌朝早く、お泉の姿が寺から消えた。

 お泉はそのまま三日三晩は戻らなかった。ところがそのまた朝早
く、皆がまだ床にいるうちに庫裏で眠る才蔵の傍らに忍び込む。
「どうでぃ?」
「見つけたけど、もうどうにもならないね。くノ一どもがまつわり
ついてる」
「くノ一だと? 男忍びじゃなく?」
「妙だと思わないかい? 公儀の忍びなら甲賀か伊賀。相手が相手
だ、なぜくノ一を配す? 解せないね。坊主どもは巣鴨の打ち捨て
られた破れ寺(やれでら)にこもっていたんだけど張り付かれちま
ってるよ」

 あのとき闇の墓所で片膝をついて去った謎のくノ一・・公儀であ
っても表の公儀でない誰か。
 そう考えたとき才蔵は、五人の坊主が寺を襲い、その様子を見て
逃げ去った百姓姿の男を、お泉のほかに追った者がいたのではと考
えた。寺が襲われたと知った何者かが見張りをつけた。そして同時
に坊主どもを監視するというわけだ。
 そしてそんなことのできる者とは・・頭巾の女に金を届けさせる
殿上人。
 隠し事のある寺に謎の浪人が棲み着いた。何者かを見極めるため
忍びを放って見張らせていたと考えるのが常道だろう。
 才蔵はあのときのお泉の言葉を思い出す。『見張られてはいない
ようだけど、あくまであたしの知る限り』
 いかにすぐれた忍びであっても単身では限りがある。
 お泉が言った。
「ごめんよ、ここに来た最初の頃、あたしはこの役目から逃げたか
った。あたしの見張りが甘かったんだ、許しておくれ」
 才蔵はちょっとうつむいて唇を噛んでいるお泉の手をそっととる。
「それは違うね、俺だってそうさ、流れ着いたボロ寺でまさかこん
なことになろうなんて思っちゃいねえ。それだけのこと。ご苦労だ
ったな、少し横になりゃぁいい」
「・・うん」
 そのとき才蔵の夜具の傍らで片膝をついて話していたお泉だった
が、なにがなんだか心が崩れ、才蔵の胸に崩れ落ちていきそうだっ
た。

 哀しげなお泉に微笑みながら才蔵は思う。
 これで寺は救われる。
 しかし坊主どもが危ういと。ふたたび動けば消されてしまうは必
定。才蔵は、忠義の武士どもをこれ以上亡くしたくはなかった。

2017年10月19日

流れ才蔵(十五話)


十五話 眠る悲恋


 その日は昨夜の星空が一転して朝から黒い雲に覆われた。いまにも
天が裂け雨となって流れ出す、そんなような空模様。
 才蔵とお泉のふたりは納屋にこもり、十吾やお花が納屋に近づかぬ
ようお香がついて遊ばせていた。しかしあのことがあってから十吾は
童ではなくなって、お香の言うことをよく考え、幼いお花を守るよう
になっている。童らの決して近づかない納屋の中で、お泉とともに隠
された秘密を探る。

「わずかだが盛り土してあるようだね」
 馬の居場所も、ただの土間だと思ったところも、外の地べたに高さ
を合わせ、しかし土を盛って嵩上げしてある。よく踏み固め、また長
い歳月が土を締めて棒先でちょっと突くぐらいでは抉れもしない。
 農具の鋤(すき)や鍬(くわ)が置いてあったのは、墓を掘るとき
に使うのと、このためだったのかも知れなかった。

 馬の囲い場とは反対側の土間の土を鋤を使って剥いでいく。少し掘
ると鋤の先が固い何かに遮られ、石の板が現れた。
「石板で塞いである」
 石の板の角のところに鋤を差し込み少し浮かせて、才蔵が持ち上げ
る。長さおよそ三尺(1メートル)、幅およそ一尺(30センチ)ほ
どの薄い板が数枚並べてあって、そのさらに下に分厚い木の一枚板が
現れた。こちらは恐ろしく厚い板のようでビクともしない。
「これか・・」
 石板をどけて、分厚い木の板の上に残る土をすべて払うと、納屋の
基礎の四角く太い横木があって、そこに長四角の穴が開けられ、ちょ
うどぴったりはまる角材が埋めてある。長い歳月で湿気を吸い、埋め
られた角材が動かない。鉄の釘を打ち込んで才蔵が渾身の力で左右に
揺すると、ようやく少し弛みができてすぽんと抜けた。
 お泉が穴を覗き込み、顔を上げて周りを見ながら言うのだった。

「これこそテコ鍵さ。穴に合うテコ棒があるはずだけど」

 才蔵と二人で見回すも、そんなものがあるとしたらひとつだけ。馬
の手綱を縛る横木しかない。しかしそれはかなり太い丸太であって、
片方が納屋の屋台の柱に埋められ、片方が馬を囲む縦板の小柱に埋め
られる。
「これだね、ちょっと見せて」
 お泉が木の枠組みを見回して、縦板の柵の向こう側、馬の囲い場に
入り込んで、肩で柵を押す。しかし動かない。才蔵が柵をつかんで引
っ張りながらお泉が肩で押す。
「動いた、やはりそうさ、横木の丸太がテコ棒なんだ」
 縦板の柵が柵ごと斜めに傾いて、馬をつなぐ丸太の棒とのつなぎ目
が現れた。こちらが凸、屋台の横木の凹にぴたりと合う大きさと長さ。
 柵を傾け、丸太を引くと、丸太の反対側が納屋の柱からすぽんと抜
けた。

「よくできたからくりだよ、これをこうやって差し込んで」

 一握りもある丸太の棒。地べたの板の横にある基礎の横木の凹に凸
を合わせて差し込んで、反対側の丸太の尻をつかみ、最初左右に回し
てみても動かない。お泉は丸太尻を握り直し、肩を入れて上に向かっ
て持ち上げた。
 ギィィ・・納屋の基礎の横木がわずかに回り、そして同時に地べた
に伏せた分厚い板がガクンと揺れて下向きに折れる。

 人ひとりがやっと通れる地下への入り口。太い丸太で数段の梯子が
組んである。
 地べたにぽっかり開いた四角い闇。思うよりもかび臭くなく、そし
て湿気も少ないようだ。ふたりは顔を見合わせた。
 才蔵が言う。
「古い馬小屋によくも仕込んだものだ」
「これだけのからくりを何のために・・」
 お泉はそう言いながら太い蝋燭に火をつけて、上にいながら手を差
し入れて闇へと明かりを運んでやった。

「太い木で木枠をこしらえ、どこもかしこも石板で固めてある。あた
しが先に降りてみるから」
「うむ、気をつけろ」
「忍びだよ、あたし・・ふふふ」
 蝋燭を才蔵に持たせておいて丸太の梯子を数段下りると、背の高い
お泉の頭がちょうど穴から出るぐらい。深さはそうないようだった。
 蝋燭を受け取って穴の奥へと腰を屈め、奥からお泉の声がした。
「これは・・すごいよ」
「何がある?」
「来てごらんよ、腰が抜けちまう」
 お泉の持つ蝋燭で照らされながら才蔵は梯子を下り、ふたりで入る
と肩を寄せ合うほどの狭さの中で奥を見た。

 黒い千両箱。それも五つが整然と並んでいて、その上にかなり黄ば
んだ紙の束。綴じ紐で閉じられた書き付けのようだった。
 そしてさらにその書き付けの上に、少し新しい文のような紙がきっ
ちりたたんで置いてある。
 書を読むには暗すぎる。書き付けと文を才蔵が持ち、五つある千両
箱のひとつの蓋をお泉が開けて、ふたり揃って覗き込む。
 才蔵が言った。
「大判だ・・慶長大判に違いねえ」
 才蔵が手を入れて取り上げて、封を開けると、きらびやかな金色の
大判が現れた。
「うむ慶長大判・・それも、これを見ろ」
 金地に墨書きされた大判の裏には、その真ん中に大きく丸い葵の紋
が刻印されているのである。
 才蔵は言った。
「これはただものじゃねえ、おそらくは家康が特別につくらせたもの
だろう」
「だとすると、高い?」
 お泉は、才蔵の手にある金色の大判を食い入って見つめていた。

 慶長大判は、慶長六年(1601年)、家康による天下統一の象徴とし
てつくられたものだったが、このように、その裏に大きな葵の紋が施
されたものは見たこともない。大判そのものが流通する貨幣ではなく、
手柄に対する恩賞や贈答のためのもの。つくられた年代や造作によっ
て、十両大判、七両大判と価値が変わり、このようなものであれば、
その価値は計り知れない。

「すべてがそうか?」
 お泉が箱の蓋を次々に開けていき、ふたり揃って呆然と立ち尽くす。
 そうした大判が、おそらくは二千枚。欲しがる者が多ければ価値は
動く。何万両どころではない価値になるのは明白だったし、間違いな
く徳川宗家の家宝ともなるものなのだ。
「ふうう・・震えるぜ、これだけあれば城が建つ」
 坊主どもの狙いが知れた。軍資金の調達だと、このときはそう考え
たふたりだった。
 箱の蓋を閉じ、書き付けと文だけを手にして上に登ったふたり。

 まずは文から。

 やがて暴く者とておるであろう
 そのときため拙僧が一筆したためておこう

 竜星和尚が書いたもの。流れるような達筆だった。

 知ってどうする 暴いてふたたび血をよぶか
 死した将を愚弄するのか愚か者
 人として思い 人として恥ずべきことのないように

 それだけの和尚の言葉。文を静かにたたんで傍らに置き、才蔵は
束となった書き付けをめくっていく。
「なんと・・」
 横にいて覗き込む、お泉の喉がかすかに鳴った。生唾を飲ませる
ほどのものなのだ。

 それは先代将軍、家光の直筆だった。
 政(まつりごと)を進めていく上で、味方となる者、敵となる者、
どちらにもつく怪しい者。御三家と言われる者の中にも敵がいて、
親藩と言えども信じ切れず、外様の中にも味方はいる。それらを見
透かし、家光がしたためたもの。
 そしてそれらに対してどう処遇していくべきか、葬るべき者たち
の名までが記されてあるのだった。
 このようなものがいまの将軍家で暴かれれば世が乱れるは必定。

 さらにその書き付けの最後のところに走り書き。
 才蔵はそれに目を走らせて愕然とした。

 この寺で待つというに そなたは来ぬ
 我が褥(しとね)にともにあれば 
 通じるものとてあるであろうに
 愛しきがゆえ葬らねばならぬ 悲しきや
 ああ悲しきや 弟よ

「これはおそらく若き日の家光公の・・」
 才蔵は膝が崩れる思いがした。
 先代将軍、徳川家光は男色として知られている。ゆえに世継ぎが
危うい。それを案じた春日局(かすがのつぼね)によって大奥はつ
くられて、世継ぎを絶やさぬようにとされたのだ。

 江戸城からもそう遠くはないこの寺で、若き日の家光が、実弟で
ある弟忠長と密会していた。
 我が褥(しとね=布団)でともにありたい。家光は弟を愛してい
たのだ。しかし待てど待てど弟は来なかった。冷たくあしらわれ、
それで弟は駿河に追いやられ、ついには自刃に追い込まれた。
 坊主どもが欲しがったのはこれだと思われた。乱心ではなく、実
の兄を愛せず、世継ぎの敵となったから忠長は葬られた・・。

 林景寺を出た竜星和尚は江戸を快くは思わない。おそらくは密会
の事実をその頃同門だった僧に告げた。しかしその後、和尚は、こ
れは命がけの愛だと悟り、家光、忠長、双方の名誉のために秘密を
守り通そうとした。ふたたび世が乱れぬようにとの願いも込めて。
 
 これらのものは、もしや城中に隠されてあったのではとも考えら
れる。気づいたか、あるいは処理を委ねられたか。
 であるなら家光にごく近い者・・それは正室か側室か。このよう
なものを城には置けない。ゆえにこの寺に葬ったのだ。
 そう考えるとすべてに納得がいく。その方は、寺の恩に報いるた
めに金を届けさせているのだろう。

 これは隠し通さなければならない。ひとりの男の真の姿がここに
あると考えた才蔵だった。

 お泉の背をそっと押して納屋を出た才蔵。本堂から明るい声がこ
ぼれてくる。またそのときパラパラと雨が舞い、古い寺はひっそり
と湿り気を帯びていた。